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岡本太郎・白洲次郎・小林秀雄・新田次郎・小沢昭一・永六輔

名だたる著名人が愛したこの宿の名前だけは知っていた。あと知っていたことといえば下諏訪にあることだけ。
台風が週末に来るとの予報で金曜日の土壇場になって宿を探し始めた。

ふとこの宿のことを思い出しHPを探した。5部屋あるうち現在は2部屋しか使ってないとのこと。
まさか。そう思ったが台風のキャンセルもあるえるのでは?と思いダメもとで電話。
「台風のキャンセルがありましたのでダイジョウブですよ」

まさかまさかの展開で
みなとや旅館に宿泊することができました。

7畳半の畳、冷蔵庫もなければ鍵もない。

1人での宿泊で20000円
2人で18000円
3人で16000円
の値段設定。今回2人だったので18000円。

この値段で少々のラグジュアリーを考えている人には、正反対の宿だと考えてもらいたいです。
風呂は露天のひとつだけ。トイレも共同、洗い場も共同。

最初に少し書いておきますが、ボクは圧倒的に好きになりました。
でも圧倒的に受付けれない人が多いだろうことも想像できます。
みなとや旅館

御歳85歳のおかみと部屋でじっくり話しこむと風呂です。

小林秀雄命名の「綿の湯」
中庭にある雰囲気のいい風呂です。

変わっているのが風呂の下に敷き詰められた玉砂利。
もともと床に敷いていたスノコが浮き上がり溺れかけた岡本太郎の指摘で玉砂利を敷いたそうです。

この石が実際はいってみると心地よく、シックリくる。
お湯の上にいるというよりはお湯に浮かんでいるのかとも思える。

そして立ってみれば程よく足の裏を刺激して旅の疲れが飛ぶ。

夕食の時間になりました。

テーブルの上を見てビックリ!これは期待できそうです!

まずは薄く切られた馬刺し。

軽くてアッサリしている。これは旨い!

蜂の子、ざざ虫、イナゴ
どれも粒が小さく濃厚な味わい。いいものはヤッパ美味しいんだなあと。

ワカサギ

フナ

手長エビ

このコゴミも美味しかったんだけど驚くのはこの後!

全部、亜高山帯で取れる山菜。

全部名前も聞いたことがない珍しいものばかり。

っそいてそれぞれ味が違っているし料理法も違う。

ハジメテ口に入れるときの興奮が終始つづきました。

こんな贅沢なディナーはないです。

85歳のおかみはこれに腰掛けて食べている間ずっと隣りで一緒にお話してくださいます。

なんと・・・貸切ですから!

桜鍋

味噌ダレで焼いて食べます。

諏訪湖の昔の話、最近の話、どれだけ話したでしょうか。

食事中ズーット隣に座っていることを苦に思うひともいるかもしれません。
だからオススメはしません。

でも旅行に来て、日常と違った話や体験ができて実家に帰ったかのようなリラックス。
ハジメテ知ることや改めて考えさせられること。
この中山道にある小さな宿には全部詰まっているようなきがしました。

岡本太郎の書

タバコは自分の部屋のみで吸うことができます。

翌朝

昨日とはまた別の亜高山の山菜の数々。

最近減っているとのことですがボクにとっては宝箱のよう。

熟れた柿を凍らせたもの。

子供の頃みかんや柿を雪にいれて凍らせたのを思い出して出しているそうです。
風呂上りに最高です。

お茶は出してくれません。なぜなら・・・

焼きおにぎりを食べた後・・

蕎麦雑炊を出してくれるから。お茶はその後。

キジの出汁で炊かれた蕎麦の実は味は濃いけどクセのないアッサリさ。
極上でした。

小さくて古くて素朴な宿。そういってしまえばそうかもしれません。
でも 謙遜しながらもじぶんの宿に誇りをもって凛としたおかみの姿。
なんでもかんでも客に頭を下げて媚び諂う宿に泊まるのもいいが、
ボクの心に残りそうなのはどうやら、みなとや旅館、そしておかみの方かもしれない。